葬送 「詩的で宗教的な調べ」より 作曲:リスト
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序奏 | ヘ短調 |
葬式の鐘の音で始まります。
鐘の音のベース音はずっとC(ド)の音で、オルゲルンプンクト(パイプオルガンのペダルでよくでてくる奏法。
ベースがずっと同度音で動かないこと)で、書かれています。
重々しいメロディーが1段ずつ階段を上っていくように、音もダイナミックレンジも上っていきます。 そして、
最高潮までいったとこで、ファンファーレの音が”Des(♭レ)"のユニゾンで奏されます。(長調のような響き?)
そして序奏はだんだん底なし沼へ沈んでいくように消えていきます。
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第一主題 | へ短調 |
どんよりと落ち込んだ暗く静かな主題が始まります。
まずは左手で奏され、2回目はメロディーが右手に移ります。
その時に音が増えて音楽は太くなりますが、静かなまま足取りだけがますます重く、
音楽は進んでいきます。
最後はちょっと不思議な方向へとむかって、音楽が中断するように終わります。
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第二主題 | 変イ長調 |
今までの重たいメロディーとは正反対の、とてもやさしく美しい音楽で、なつかしい友を思い出す回想部分です。
2回目のこの美しいメロディーはイ長調へと転調し、メロディーはホルンのような温かい響きで、アルトへと受け継がれて歌われます。
和音を畳み込むように上っていき、また変イ長調で壮大な感じへと、発展していきます。
最後は最高潮まで登りつめて、ここも中断するようにして終わります。
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展開部 | ? |
ここは、ショパンの「英雄ポロネーズ」の中間部分のような左手が出てきます。雄々しいリズムによって、
英雄として戦ったかつての友らを偲んでいるのでしょうか。
始めは変二長調で、イ長調、ヘ長調、ニ長調、ヘ短調と、同じような形で転調を繰り返して、緊張感が増していき、
再現部へと盛り上げます
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再現部 | ヘ短調 |
ここは最初の静かな第一主題が再現されるのではなく、もっと恐ろしく深刻で、気持ちを抑えきれず爆発したように、
第一主題が再現されます。最後はだんだん疲れ果てたかのように落ち着いてきて消え、どこからか第二主題の回想が聞こえて来ます。
あまりの美しさにため息のでるところで、この曲一番の聞かせどころです。
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コーダ | ヘ短調 |
英雄の左手が、遠くからだんだん近づいてきて音楽は興奮していきますが、、英雄が逝ってしまい落胆したかのように、
、消えそうなほどの弱い3つの和音で終わります。
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