100選♪これだけは聴いておこう♪ クラシック音楽



葬送(「詩的で宗教的な調べ」より)


リストはとても優秀なピアニストであり、作曲家でした。
彼のピアノ曲の中には名曲がたくさんありますが、、 一番有名な作品をあげるとすると、とても甘いメロディーが印象的な『愛の夢』でしょう。
リストの作品はピアニストにとって、とても技巧的に困難な作品のように思えても、テクニック的にはとても 弾きやすく書かれています。
体や指の動きと音楽がうまくつながるようになっているので、体的にも指的にも無理のないようになっていて、 次の音への移動も自然にその位置に来るようにちゃんと出来ています。
といっても、そこまでいくまでが難しいんですけど・・・。

この『葬送』は「詩的で宗教的な調べ」(全部で10曲あるうちの)7番目の曲で 10曲のうちでこの曲が一番有名です。
あとは10番の『愛の頌歌』が有名ですが、他の曲はあまり知られていません。

この『葬送』を作るきっかけとなったのは、ショパンの死を悼んで書いたと言う説と、 祖国のハンガリーの人々や友人が、オーストリアで起こしたデモで失敗して処刑されたのを悼んで書いたという、 2通りがあるようですが、悲痛な曲の感じからいって後者がふさわしいようです。

たった10分程度の中で、ドラマティックあふれた作品です。
ぜひこのすごい作品を聴いて頂きたい・・・。



葬送 「詩的で宗教的な調べ」より 作曲:リスト
序奏
ヘ短調
葬式の鐘の音で始まります。
鐘の音のベース音はずっとC(ド)の音で、オルゲルンプンクト(パイプオルガンのペダルでよくでてくる奏法。 ベースがずっと同度音で動かないこと)で、書かれています。
重々しいメロディーが1段ずつ階段を上っていくように、音もダイナミックレンジも上っていきます。
そして、 最高潮までいったとこで、ファンファーレの音が”Des(♭レ)"のユニゾンで奏されます。(長調のような響き?)
そして序奏はだんだん底なし沼へ沈んでいくように消えていきます。
第一主題
へ短調
どんよりと落ち込んだ暗く静かな主題が始まります。
まずは左手で奏され、2回目はメロディーが右手に移ります。
その時に音が増えて音楽は太くなりますが、静かなまま足取りだけがますます重く、 音楽は進んでいきます。
最後はちょっと不思議な方向へとむかって、音楽が中断するように終わります。
第二主題
変イ長調
今までの重たいメロディーとは正反対の、とてもやさしく美しい音楽で、なつかしい友を思い出す回想部分です。
2回目のこの美しいメロディーはイ長調へと転調し、メロディーはホルンのような温かい響きで、アルトへと受け継がれて歌われます。
和音を畳み込むように上っていき、また変イ長調で壮大な感じへと、発展していきます。
最後は最高潮まで登りつめて、ここも中断するようにして終わります。
展開部
ここは、ショパンの「英雄ポロネーズ」の中間部分のような左手が出てきます。雄々しいリズムによって、 英雄として戦ったかつての友らを偲んでいるのでしょうか。
始めは変二長調で、イ長調、ヘ長調、ニ長調、ヘ短調と、同じような形で転調を繰り返して、緊張感が増していき、 再現部へと盛り上げます
再現部
ヘ短調
ここは最初の静かな第一主題が再現されるのではなく、もっと恐ろしく深刻で、気持ちを抑えきれず爆発したように、 第一主題が再現されます。最後はだんだん疲れ果てたかのように落ち着いてきて消え、どこからか第二主題の回想が聞こえて来ます。
あまりの美しさにため息のでるところで、この曲一番の聞かせどころです。
コーダ
ヘ短調
英雄の左手が、遠くからだんだん近づいてきて音楽は興奮していきますが、、英雄が逝ってしまい落胆したかのように、 、消えそうなほどの弱い3つの和音で終わります。



オススメCD

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題名
演奏者
曲目
視聴
備考
ツィマーマン葬送
ソナタ
悲しみのゴンドラ2番
Listen
ドラマティックな演奏です。
ルービンシュタイン葬送
ハンガリアン・ラプソディ
忘れられた円舞曲
愛の夢他
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ゾクゾクくる演奏。
ホロヴィッツ葬送
ソナタ
バラード2番
コンソレーション
メフィストワルツ
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感動です。
ボレットリスト作品16曲
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リストの演奏では人気があります
フジ子・ヘミング 葬送
森の情景他
 
彼女のコンサートのチケットはすぐに完売するくらいに 日本では人気がありますが、はっきりいってオススメしません。ファンの方には申し訳ありませんが、 彼女の演奏はリストではなく、彼女の編曲になっています。 個性と自由とは違います。ちょっと勘違いされているのでは・・・。
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フランツ・リスト(1811 〜1886)

ハンガリーのライディングで生まれます。 ピアノの神童として知られ、9歳で演奏会を行い、1821年からウィーンで学び、各地を演奏旅行しました。
その後、父の死を契機にパリに居を構え、ベルリオーズの 「幻想交響曲」の初演を聴きベルリオーズとの親交が始まり、その後も多くの音楽家や芸術家と交流します。
マリー・ダグー伯爵夫人と知り合い、彼女との子供を2人授かっていますが、その後破局を迎えます。 
1848年〜ヴァイマール大公の宮廷学士長。その後カロリーネとの恋に破れて修道院生活を送ります。
1875年〜ハンガリー国立音楽院院長に任命され、1886年バイロイトで急死。



詩的で宗教的な調べ

この『詩的で宗教的な調べ』は、彼の作品、交響詩「レ・プレリュード」の詩を収めた、 フランスの詩人ラマティーヌの詩集「瞑想詩集」に基づいています。
当初この『詩的で宗教的な調べ』という題は、この曲の第四番「死への思想」を、 リストが主催する「パリ音楽新報」の付録として出版する時に用いられました。 

『詩的で宗教的な調べ』全曲は以下です。

1、祈り
2、アヴェ・マリア
3、孤独の中に神の祝福
4、死への思想
5、われらの父よ
6、眠りから覚めた子供への賛歌
7、葬送
8、パレストリーナのミゼレーレ
9、アンダンテ・ラグリモーソ
10、愛の頌歌



この『詩的で宗教的な調べ』のきっかけとなった、「レ・プレリュード’前奏曲)」は、リストの交響詩の中でも最も成功した作品です。

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